生産者と消費者が繋がっていくコミュニティの事例と在り方

こんにちは。ポケットマルシェの生産者サポートをさせて頂いておりますノセタニと申します。



天候の移り変わりが大きい季節ですが、徐々に春の足音も聞こえ、私の周辺では梅の花が満開を迎えています。いよいよ花より団子の私の胃袋がなりだす季節となりました。



私自身、春の問題は花粉症ですが、実は先日アレルギーの判定検査を受けてみたところ、アレルギーは全くなしとの判定が出ました。ここ4−5年ほど、自分は花粉症だと思い込んでいた事が虚しくもあり、また定期的に外部の客観的な意見を求める事で意外に自分が問題だと思っていた事が解決されることってたくさんあるんだと感じ反省しました。



さて、少々私の小話が長引きましたが、今回は冒頭のテーマでマガジンを進めていきたいと思います。私は、日本と米国拠点でこれまで両国並びに北米、中南米、オセアニア、中国、ヨーロッパなどの農産物流通に携わってきました。国際貿易ですので、物量は大きく、基本的には日々数十トン〜百トンの輸出、数百〜数万ヘクタール級の大規模生産者との関わりが多かったのですが、ここでは特に私の米国での生活の中で経験し感じたことを書かさせていただきます。



インターネットの普及とともに様々なSNSが出現し、これまでネットにアプローチしづらかった人たちが様々なプラットフォームを容易に、且つ安価(時には無料で)で利用できる時代になりました。そういったことで、情報発信を行いこれまで関われなかった人たちとの交流ができるようになりました。一方で、やはり人と人、いわゆるオフラインの活動も引き続き活発に行われています。その具体例としてはファーマーズマーケットとCSA(Community-Supported Agriculture)、直売所があげられるのではないでしょうか。



直売所に関しては、日本において既にある程度成熟度が高まったチャネルと言えると思います。集客しかり、裏側でのオペレーションの構築しかり、既に全国でおそらく1兆円を超えるチャネルとなっているのではないでしょうか。(*1)筆者もほそぼそと直売&投げ銭スタンドで野菜を売っていました。(クッキーも。妻の作るフィナンシェが人気でした)手書きの値札、空調無し、セキュリティーゼロの空き缶、それでも実際には値札以上の金額がいつも入っていた事に当初戸惑いました(笑)。下がその画像で、一応周りに花の種をまき、少しでも見栄えする努力が涙ぐましいです!その下の画像は荒れ地を整理してできた完全DIY自動潅水トマト&きゅうり栽培ハウスです(笑)。

日本でも近年ファーマーズマーケットは盛んに行われており、一部ではCSAを目指す動きも出始めてきています。私も、足しげくファーマーズマーケットには通っており、ここ10年ほどは家族の生活の一部になっているといっても過言ではありません。その中で私が感じた日米のファーマーズマーケットの違いとしては次のようなものが挙げられます。


◼︎開催場所

日本ではまだまだ地域性は弱く、集客が見込める立地の商業施設などの中で行われる事が多いと感じます。一方でカリフォルニアでは、街の道路を封鎖して歩行者天国にして行ったり(ロスアンジェルス、サンタバーバラなど)、Kaiser permanente という医療法人が自社の街中にある病院内の敷地の庭や研究施設の駐車場を解放し農業者に無料で提供していたりしました。野菜果物を多く食べることは健康に繋がりますし、それを促進しようとする病院の活動は素晴らしいものがあると思います。また、やはり消費者のより近くで開催することは消費者も参加しやすく、また都会すぎるロケーションは生産者の出店に対する制限を生んでしまうのが懸念点です。


◼︎開催日、頻度

日本では、ほぼ週末開催といっても過言ではありません。一方米国では平日開催もありました。ライフスタイルの違いもあるのでしょうが、主婦の方々も週一回くらい平日にファーマーズマーケットでお買い物っていうのも日々に彩りを与えられるものだと思います。


◼︎コンテンツ

必ずといっていいほど、アマチュアのミュージシャンなどが生演奏を行っている事が多くありました。もちろん人間は消費活動のためだけに生きているだけではなくその様な中にも何かしらの娯楽要素を入れて行くことは楽しいですよね。私のお気に入りはハワイアンミュージックでした。もちろんフードトラックも良いですし、来場した人がゆっくり回れる仕掛けがあると、より人を呼ぶことに繋がりますね。



日本人的な若干の違和感としては、米国は国土の大きい国なので、地域の生産者と言っても日本と比較すると広域に渡ります。イメージ的には半径300ー400kmくらいはあると思いました。


意外に、ファーマーズマーケットとCSAとは紙一重で、両方やっている生産者もいたり、実はファーマーズマーケットに生産物は出さずに、シーズン前にCSAのチラシだけ持って参加し、賛同してくれる消費者を募っている場面も多く見られたのが面白いところでした。冒頭の私の盲目さの反面で、発想の転換をする柔軟さは素晴らしいです。



あと、私が応援していた若い生産者がいて、彼女は美味しいトマトを作りたいということで、水切りのミデイトマトを作っています。ブースは横幅1mしかない小規模なもので、売っているものもトマトだけ。でもこれを熱っぽく語る姿に心を打たれ、毎回行くたびに買っていました。これって直売ファン作りでもありCSAでもあると思います。



CSAの基本でもある、コミュニテイが生産者を守り育てて行く一方で、後身を育てることも重要です。私が見たものではFFA (Future Farmers of America)が生徒が生産したスィートコーンを売っていたことです。FFAは日本にもあるFFJ(Future Farmers of Japan) の先駆けとなった組織で、主に中・高生が参加でき個々の学生が様々な職業体験を通じてリーダーシップを発揮し、将来の職業への素養となる経験を積む教育をほどこす組織です。



農業を学ぶ中学生、高校生がファーマーズマーケットに立つ姿は日本ではなかなか見られませんが、早いうちから消費者との接点を持ち、農業を通じて得られる喜び、また消費者からのフィードバックももらう中で、次につなげて行くモチベーションをもらえる機会は本当に貴重です。もちろん消費活動を通じて、求められる品質、生産物づくりは必要なのですが、もう少し視野を広く捉えた時に ”持続可能” な循環を作り上げて行く活動は必要不可欠です。今後日本の人口は高齢化、人口減少がより顕著に現れ、明らかに世界における競争力を失いつつあります。一方で、世界は人口の増加をどんどん続けており食糧不足は明らかに進んでいます。昨今の地球温暖化や天候変化のもとでブレ幅を拡大しつつある食糧生産において、より持続可能な循環を確立すべく地域における食料確保への動き、またその担い手を育んで行くために、より実生活に密着したチャネルを考えて行くときがきているのだと思います。



私自身、近所や友達の子供たちにトマトの苗を配っていました。下の画像はそのうちの一人ですが、普段自分たちが食べているものがどのようになっていて、また目の前で良くも悪くもどんな変化が現れるのか、それを知るきっかけを提供することは非常に意義のある事だと考えています。そういった事を農業後継者以外の教育としても地域に根ざしていく、全ての大人に求められているのではないでしょうか。是非ともポケットマルシェ に参加されている生産者の皆様にもコミュニテイ機能などを活用いただき、持続可能な生産〜消費の循環、またその中でのファン作りに役立てていただければと感じます。

(*1)農水省H21年 農産物地産地消等実態調査によると産地直売所の運営主体別年間総販売金額(全国)(平成21年度)は8,767億円となっている。(http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tisan/#r)


■前回のノセタニの記事はこちら


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