昨今の気象状況から考える"リアルな現場"の発信の重要性

初めまして。私、ノセタニと申します。



ポケットマルシェの生産者サポートをさせて頂いております。私はこれまで日本と海外における農産物流通、農業教育に携わってきました。その経験を、今後いくつかこのブログで発信させて頂く予定です。お付き合いの程よろしくお願い申し上げます。


さて、この冬は寒い日が全国的に続いており、降雪も多い地域がありますが、農産物のみならず時化による漁師さんへの影響も非常に大きい地域があると聞きます。



今年の冬が寒い原因は明確で、ラニーニャ現象(*1)が顕著であることが衛星画像からも認められ、定説通りラニーニャが起きると”日本の冬は寒くなる”ということになっています。



一番影響を受けているのは農産物かもしれませんが、スーパーでもレタスは300円(500円まで高くなりました・・・)、白菜も1/4カットで200円です(*2)。



こういった状況が続きますと、明らかに消費者の生鮮物離れが進み、事実小売業における冷凍食品の売り上げ増加が各方面から聞こえてくるようになります。



■2015年12月の衛星画像↓(エルニーニョ)(*3)

■2017年12月衛星画像↓(ラニーニャ)

第一次産業は、言わずもがな天候による影響を非常に受けやすく、また近年の気候変化における極端な気象変化も安定的な生産や供給の阻害要因となり、生産者の皆様の経営のリスクにもなっています。



日本の流通システムの効率化が進む中で、本来の第一次産業の姿も変化を迫られ、定時定量納品がビジネスを進めていく中での必須事項となり、本来の気象に左右される第一次産業の現場がだんだん消費者から遠ざかっていってしまったと推測しますし、都会での核家族化傾向も第一次産業の経験や見聞を顕著に押し下げてしまったのではないでしょうか。



ご存知の様にポケットマルシェではこの事についてもインターネットの力で解決していこうと取り組んでいる重要な領域になります。



既存の流通システムが完成された一方で、インターネットを通じた消費者活動が始まり、流通システムに変化をもたらしはじめました。まだ日本におけるECの消費者向けの普及率としては6%弱との調査があり(*4)、まだまだ将来的な発展が予想されます。

一方で、現状はアパレルや雑貨、加工食品が中心となっており”生鮮物”といった側面から見るとまだ普及は進んでいません。



そこで消費者における生鮮食品のネット販売のアンケートを調べてみました(*5)↓


・生鮮食品をネットで購入したことがある→約10%

・生鮮食品を扱うウェブサイトにアクセスしたことがある→約60%

・生鮮食品のネット購入への抵抗感→約65%

・購入のポイント→1、鮮度や品質:約50%

         2、販売する人に対する信用:約15%

         3、商品の価格:約12%


上記のアンケート結果から推測すると、生鮮食品のネット販売に興味はあるけど、”鮮度品質”、”販売者の顔”、”価格の妥当性”が阻害要因となっていると考えられます。

この要素は、やはりポケットマルシェ でも打ち出していきたい要素でもあります


■”鮮度、品質” → その商品がどこで作られ、どの様な経路を経て消費者に届くのか?もちろんこれは産直ですので誰も中間に介在しませんね。

■”販売者(生産者)の信用” → やはりその商品が誰によってどの様に生産されているのか?非常に大きな要素でもあり、もちろん商品力のみならず交流によっても醸成されていくものだと思います。

■”商品の価格” → もちろん安い物の方が消費者は買いやすいですが、重要なのはその価値がどこになるのかの納得感を消費者に提供しないと最終的な購入にはつながりません。


かくいう筆者もポケマル ユーザーの一人なのですが、私の経験としては上記に加えたい事として2点感じています。

1点目はオススメの”保存方法””調理方法””美味しい食べ方”です。とかく産直になりますと間違いなくスーパーで’小売り”される量よりかは明らかに多くなりますし原体を上手に調理、保存する方法も必要になります。

私の経験としては、ある特定のお魚が想像以上にたくさん届いた時に、調べてみたら干物が美味しいことがわかり自分で考え作ってみました。単純にすぐに食べられないぶんを冷凍保存していたら気づかなかった食べ方です。ここは食材のプロである生産者の皆さんの見識が高い歩留まりで消費者の皆さんへ伝わり、自分で行う加工作業なども通じて素晴らしい食体験ができれば間違いなく新たな食の形ができてくるのではと思います。



2点目はコミュニケーションです。前述の「購入のポイントにおける”販売する人に対する信用”」において、「早めのレスポンス」「コミュニテイを使った現場のリアルの発信’がキーになると思っています。やはり一人の注文をした消費者としては、発注後しばらく音沙汰がないと”本当に注文が伝わっているのかな?”と心配になります。短くても良いので受注を確認した旨の連絡や、現状におけるお届け見通しなどを発信していくことがお互いの信頼関係の積み上げになっていくかと思います。

また、例えば気象の悪化などにより発送が遅れることが予想される際は、コミュニテイを活用されリアルな現場を投稿すると消費者の皆さんの生産側への理解につながると思っています。



今回は以上となりますが、次回は2週間後に次号の発信をさせて頂く予定です。テーマとしては生産者と消費者が繋がっていくコミュニテイの事例と仕組みの在り方(暫定)について寄稿したいと考えております。

追伸:下記画像はとある週末の1日に我が家に届いた産直産品の数々。本当に贅沢な日でした笑。


(*1)太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低い状態が続く現象(気象庁ホームページより)

(*2)東京都内店頭調べ

(*3)太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象(米国気象庁 National weather service)

(*4)経済産業省調べ

(*5)アンケート参照:マイボイスコム調べ


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