Facebook、Instagram、Twitter…近年こうしたSNSをうまく活用していきたいという生産者さんも増えているように思います。しかし中には、「各メディアをどのように使い分けたらいいのかわからない」、「どのような内容を発信すればいいのかわからない」といった方も多いのではないでしょうか。
そんな中、数多くのSNSを駆使してファンを獲得しているのが、熊本県で桃やキンカンなどの果樹を栽培するハナウタカジツの片山和洋さんです。
Instagramでは 「#ハナウタカジツ」 のハッシュタグがついた投稿がすでに1,300件以上ありますが、なんとそのすべてがお客さんからアップされているとのこと。またTwitterアカウントのフォロワーは3,000人を超えていることからもその人気ぶりが伺えます。
↑「 #ハナウタカジツ」のついたInstagramの投稿
そこで今回は片山さんに、各SNSの活用法やブランディング戦略、その先に目指していることなどを語っていただきました!
ーーーさっそくですが、片山さんが使っているSNSを教えてください!
更新頻度はものによって異なりますが、Facebookの個人ページ、Facebookの公式ページ、Instagram、Twitter、LINE@、Note(ブログ)の6種類を使っています。
ーーー6種類!特によく使っているものはどれですか?
Instagramは一番頻度高く使っていますが、一般のお客さんやファンの方向けに、畑の様子やレシピなどハナウタカジツとしての発信をしています。それからTwitterはハナウタカジツとしての発信だけではなく(片山さん)個人としての発信も多く行っています。
Twitterは表向きは情報発信の体を取っていますが、実は私にとっては情報収拾の側面も大きいのです。Twitterでは自分の考えを発信していれば、その内容に興味がある人が集まってきますよね。「情報収拾をするなら情報発信をせよ」と言われたりもしますが、その通りだなと思っています。
抽象的なものの情報収拾はわざわざSNSを使わなくてもできるのですが、近い状況にある人たちの具体的な戦略を知ることができるのはTwitterの良いところです。
↑ポケマルの攻略法も…!
ーーー情報発信する際、お客さんへの見せ方やブランディングといった点に関してどのようなことを意識していますか?
農家の栽培方法や販売方法は多様ですが、そのうちの3,4つが組み合わさって農家の個性が出るように思っています。 農家は単価やリピート率を上げるために人との違いを出してブランディングしていこうとします。そこで多くの農家は「他のものに比べて糖度が高いか」や「農薬散布がいかに少ないか」など定量的な指標で差別化をしていこうとしています。
しかしこれらの点は災害や気候変動などが起きれば必ずしも約束できるポイントではありませんし、何しろ皆がそのブランディングを目指しているので、自分もそこに集中していると疲弊してしまうんですよね。さらに、同じブランディングを目指していると農家同士の仲が悪くなるように思います。「あいつは糖度が高いとか言ってるけど、うちのほど美味しくないぞ」といったように。
ーーー確かに「糖度競争」という言葉を農家さんから聞くことがあります。
もちろんハナウタカジツとしても美味しくて安心安全な果物作りを目指していますが、それは前提として、さらに「かわいくておしゃれ」というブランディングを目指しています。 そのようなブランディングであれば、ベクトルが違っているので他の農家とも仲良くすることができますし、自分としても気楽に他の農家さんと付き合うことができます。
生産者さん各々が何かしらの特別なものを持っているはずなので、他の生産者さんも同じ方向性を目指すのではなくそれぞれの観点で取り組んでいけばいいのではないかと思っています。
↑ハナウタカジツさんのホームページから。カラフルでかわいいイメージです。
ーーーもともとはどのような経緯でSNSを活用するようになったのですか?
高校の時に部活やセンター試験などを経験するうちに、自分は頑張りすぎて途中で挫折してしまうことが多い、燃え尽き症候群タイプ、いわゆる飽き性だということがわかりました。
私は22歳で就農しましたが、果樹農家という仕事においては10年、20年という時間をかけて木を育てるので、極論を言えば1日でも飽きて怠けてしまうとそのダメージを3、4年ほど引きずってしまいます。なので、私の飽きやすい性格は果樹農家にとって致命的です。
そんな私が果樹農家を続けるためにも、消費者の方から「美味しい」と言っていただくだけではなく、栽培中にも「ありがとう」がほしいんです。それがやりがいに繋がっています。
例えばSNSで桃を間引いているといった内容を投稿すると、お客さんから「美味しい桃を楽しみにしています」といったコメントをいただくことができます。そのようなお客さんとのやりとりによってモチベーションを保つことができているからこそ、飽き性の私でもこれまで17年間果樹農家を頑張ることができています。
お客さんにはSNSを通じて、「あなたが”いいね”を水のように与えてくれることで、農家の私は育ちます」「だから、あなたも消費者ではなく生産者だと思います」というメッセージを伝えています。
ーーー生産者サポートチームには、「ポケマルのコミュニティページにどのような投稿をしたら良いかわからない」という声が時折生産者さんから寄せられます。そんな生産者さんに向けて片山さんから何かアドバイスはありますか?
ポケマル生産者ランキングで年間一位の生産者さんが自分の得意を活かしてお客さんと長文でのコミュニケーションを行っているという話もありましたが(ランキング1位の生産者さんに聞く!お客さんの心を摑む販売術)、それももちろんあり。ただ結局はその人のカラーが出たらいいのではと思っています。
うちでは超短文で2−3行のみ投稿するようにしています。Instagramに投稿している内容をそのままコミュニティに投稿したりもいいと思いますし、あったことをそのまま書けばいいのではないでしょうか。
ーーーあまり気を張りすぎなくてもいいということですね。
私が色々なSNSを使う中で、共通に心がけていることがあります。それは、アイドルでもないただの一農家の投稿を見にくる人はそれほどいないだろう、と高を括っておくことです。
毎日一生懸命に投稿をしていても「いいね」が1個もつかなければ心が挫けますよね。だからこそ、投稿はパワーを10あるうちの1くらいしか使わなくて良いと思っています。
むしろ、自分一人で発信するよりも色んな人に発信してもらうことの方が大事だと思っています。ハナウタカジツは家族経営なので営業担当がいません。だからこそ、私たち農家の営業マンをいかに増やしていくかが大事になってきます。
それは例えばハナウタカジツとコラボしてくれた相手だったり、購入してくれたお客さんだったりします。 少し抽象的な言い方ですが、「ハナウタカジツというコミュニティそのものをメディア化する」ということを考えています。
ーーーコミュニティをメディア化する、と言いますと?
私はコラボしてくれたパン屋さんなど、仲がいい人たちにインタビューをしたブログも書いているのですが、そうした記事を書いてもその瞬間しか読まれません。
そこで、例えばそのパン屋さんが雑誌に掲載されたらそのことを自分のメディアに投稿し、昔自分が書いたインタビュー記事も一緒に載せます。そうすると昔書いた記事を読み続けていただけますし、農産物に興味がない人たちにも届きやすい情報になります。
仲のいい皆さんが勝手に頑張ってくれているので、それをメディアと捉えて自分のことも合わせて発信する。すると相手の宣伝にもなるのでwin-winの関係が築けるのです。
ーーーなるほど。ポケマルの中ではどのような動きがありえると思いますか?
例えば他の生産者さんのものを買って紹介してみたり、他の生産者さんのコミュニティに投稿やコメントをしに行ったら、色んな方にハナウタカジツのことを知ってもらうことに繋がりますよね。その生産者さんからしても投稿してもらえて嬉しいという相乗効果が生まれます。
生産者同士ってあまり仲良くないことが多かったり、チームを組むことに慣れていないようにも思いますが、でもそろそろその壁は越えていかなければいけない時期なのではないでしょうか。
各々が売上を上げていこうとするだけでなく、各々の生産者さんが前のめりになってポケマルというコミュニティ全体を盛り上げていく動きが出てきたらいいなと思います。
ーーーおっしゃる通りですね。みんなで盛り上げていける雰囲気を作れるよう、ポケマル 側としても工夫していきたいと思います。ありがとうございました!
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