皆様、こんにちは。大平恭子です。
「直販農家のための、Fun×Fanマーケティング講座」は、今までの実践や講演セミナー内容、指導アドバイス事例を、大平流に連載ブログ形式でお届けするものです。(これまでの記事はこちら。)
本編の9回目のテーマは、「効果的な印象づくり(2) 写真とSNSの活用」です。「効果的な印象づくり」として、前回のVOL.8では、主に商品やブランド認知を視覚的な観点からお伝えしました。今回は、直販農家が直接的に個人一一人と繋がることができるSNSと、その素材となる写真、あるいは簡単な動画との関連性の中からお伝えしたいと思います。
◆SNSはツール、重要なのは「何を伝えたいか」ということ。
インターネットの進展やスマホアプリの一般化等により、個人一人一人がだれでも発信できる環境が充実してきました。皆様の中でも、TwitterやFacebook、Instagramなどを日常的にお使いの方もいらっしゃると思います。
個人と個人とが簡単に繋がれる環境の中で、直販農家としては、①目的は何か、②その目的に沿って何を発信するかがとても大切。ただ、例えば、「販売機会の拡大」を目的に持ち、出荷期を迎えた農産物や販売会等の「お知らせ情報」を優先したとしても、興味をもってもらわなければ、実際の来場や購買行動には繋がりません。
つまり、目的に対し、存在を知ってもらい、しかも、「まずは会いたい、そして買いたい」という気持ちにさせるためには、商品の裏側にある様々な出来事を「情報」ととらえ、③独自の視点や自分の言葉で、④見ている人が楽しくなったり、感動したりする姿を想像しながら、発信を積み重ねていくことが肝要です。そして、農家だから知っていること、農家だから知ってほしいことに注力し、それらを「おすそ分け」するような気持ちで発信すると、親しみを持って伝わりやすいです。
これらのことを、以前からセミナーにご参加いただき、大切な友人でもある愛知県愛西市の伊藤美弥さんのFBページ(お米 de 元気! 愛菜農家)を事例にご紹介したいと思います。
◆お米 de 元気!愛菜農家 伊藤さんの事例
伊藤美弥さんはご主人と一緒に代々伝わる田んぼを守りながら、野菜の栽培を行い、主に飲食店を中心に卸しています。露地栽培にこだわり、なるべく環境にやさしく、人にやさしい農業を心がけています。
このFBページには、お米の生産における営みや農家視点での季節の移り変わり、共生している生き物などが度々登場します。露地栽培だけあって、自然光の中でのナチュラルな写真が多く、野菜の成り立ちや昆虫、朝焼けや葉の滴など、主題がはっきりしていて、「何を伝えたいのか」がとても分かりやすいのも特徴です。また、動画を活用することで、トラクターの機械音、水を張った田んぼを歩く音、鳥の声、ウシガエルの鳴き声等も臨場感をもって伝えています。
<お米de元気!愛菜農家 FBページの投稿から>
<農家目線の秋、として紹介>
意識しているのは、おそらく「農家だから伝えられる日常と自然との共生」でしょうか。淡々と情景を語る日もあれば、晴れた日の忙しさ、「ウシガエル取っ組み合い」といった事件(?)まで、そこには、自分の田んぼや畑を舞台に農家だから伝えられる、とても小さな物語(ショートストーリー)があります。
◆効果的な印象づくりは、農家ならではの情報伝達とコミュニケーション。
このような形で第三者が解説を加えると、何か特別なことのように感じるかもしれません。しかしながら、伊藤さんの場合は、過度に狙っていることもつくりこんでいることもなく、自分ができる方法で、本当に思ったり感じたりしていること(=大切にしている価値観)を「無心に」発信していることにリアリティを感じますし、それが投稿の魅力となっています。
もし、農作業に没頭して写真を撮ったり投稿を忘れてしまう、あるいは負担だと感じる方がいましたら、SNS活用の目的を整理し、テーマを絞り込んで投稿スケジュールを立ててみましょう。そしてこれを農作業と一緒に業務のひとつとして組み込んでいきます。実は、「その日当日の販売会のお知らせ」でない限り、投稿の時間にとらわれることはありません。まとめて記事を作成し、予約投稿の機能を活用するなどして、時間を計画的に使うのも一つの手です。
今回の内容が、皆様の気づきや具体的行動に繋がりましたら幸いです。
【プロフィール】 ブランドストーリー 代表 大平恭子
食農連携の分野で「売り方・食べ方で人と地域を活性」をミッションに、付加価値化と魅力増大を図る専門家。生産者・農産物ブランディング、食事業者に対する健康食材コーディネートやレシピ開発、加工品開発支援、講演セミナー等を行っている。
6次産業化プランナー、野菜ソムリエ上級プロ、アスリートフードマイスター
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