こんにちは!ポケマルインターン生の石川です。
皆さんは『新規就農者調査』について聞いたことがありますか?
この調査は2007年から毎年農林水産省が発表しているもので、”意欲ある多様な農業者による農業経営を推進するため、新規就農者数を把握し、新たな人材を育成・確保する諸施策の企画・立案、検証等に必要な資料を提供することを目的とする”とされています。(*1)
2018年8月に発表された新規就農者調査によると、2017年の新規就農者は5万5,670人で、49歳以下は4年連続で2万人を超えたというデータが公開されています。
ただ、統計の数字を見ているだけでは、内容を読み取るのが難しいように感じる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、新規就農者調査(2017年・2016年)の数字をわかりやすくグラフ化し、気になるポイントをまとめてみました!
▼新規就農者の3分類
まず、前提になっている新規就農者の定義について確認していきます。新規就農者とひとくちに言っても、様々なタイプがあります。
1. 自営農業就農者
農家世帯員で、調査期日前1年間の生活の主な状態が、「学生」から「自営農業への従事が主」になった者及び「他に雇われて勤務が主」から「自営農業への従事が主」になった者。
2. 新規雇用就農者
調査期日前1年間に新たに法人等に常雇い(年間7か月以上)として雇用されることにより、農業に従事することとなった者。
3. 新規参入者
調査期日前1年間に土地や資金を独自に調達し、新たに農業経営を開始した者。
▼若手新規就農者の推移
それではその3タイプの49歳以下の人数がそれぞれどのような推移になっているのか見てみましょう。
グラフでここ4年間の推移を見ると、新規雇用就農者が増加傾向にある一方で、新規自営農業就農者の数は減少傾向にあることがわかります。
なお、新規雇用就農者増加の背景について農林水産省の担当者は、農業法人等による研修費用を交付する「農の雇用事業」の効果を挙げています。(*2)
▼3タイプ別の年齢構成比
次に新規雇用就農者、新規参入者、新規自営農業就農者の3タイプごとにそれぞれの年齢別割合を見ていきます。
新規雇用就農者・新規参入者における49歳以下の割合が3/4を占めているのに対し、新規自営農業就農者では49歳以下の若手の割合がおよそ1/4と逆転していることがわかります。
ここから49歳以下で自営農業へシフトする農家世帯員(子供など)はまだまだ少ないと言えそうです。
さて、ここまでは2017年の第1報(速報)として発表された内容をもとに新規就農者の概要について見てきました。ここからは2016年の確報(詳細データ)をもとに、さらに若手の割合が高く、全体の数も伸びている「新規雇用就農者」の実態について詳しく見ていきます。
▼新規雇用就農者を雇用しているのは?
まずは、「雇用先の農産物販売金額規模別新規雇用就農者数」を見てみましょう。されていることがわかります。
新規雇用者の半数以上が農産物販売額が1億以上の経営体に雇用されていることがわかります。
▼新規雇用就農者の出身は?
次に、「出身別新規雇用就農者数」について見ていきます。
すると、新規雇用就農者のおよそ87%は非農家出身であるという結果がわかりました。
▼まとめ
・「新規就農者」は3タイプに大別される
・新規就農者のタイプによって数の増減は異なり、またどの期間の推移を見るかによってその傾向も違うため、ひとくちに「新規就農者が増えている」とは言いにくい
・若年層(49歳以下)の割合は「新規雇用就農者」「新規参入者」では高いが、「新規自営農業就農者」では低い
・新規雇用就農者は「非農家出身」「若年層」の割合が高く、また雇用される先は「農産物販売額1億以上の経営体」に新規雇用される場合が多い
いかがでしたでしょうか?官庁が発行する統計は数字ばかりでとっつきにくいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はグラフにしてみると色々なことが見えてきます。
ポケットマルシェ利用者の中には新規就農者も多く、彼らにインタビューした記事などもございます。ぜひご覧ください。
▶反収で考えるのはもうやめよう。アメリカ研修で学んだ農業の稼ぎ方|福嶋宏史さん/新規就農5年目/長野県安曇野市
▶品目は?販路は?新規就農者の戦い方|日下篤さん/Kusaka Vineyards/栃木県芳賀郡市貝町
ポケマルは今後も新規就農に関心のある方への情報提供やサポートを行っていく予定です。どうぞお楽しみに!
(*1)農林水産省(2018)「新規就農者調査」, <http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sinki/index.html> 2018年12月18日アクセス.
(*2)アグリジャーナル(2017)「若者新規就農者が3年連続で2万人超 後継者不足は?」, <https://agrijournal.jp/farmer/35461/> 2018年12月18日アクセス.
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