反収で考えるのはもうやめよう。アメリカ研修で学んだ農業の稼ぎ方|福嶋宏史さん/新規就農5年目/長野県安曇野市

「いざ農業を始めよう!」と思っても、農地の確保、栽培品目の決定、作付け計画、販路開拓…と新規就農者の悩みは尽きません。

そこでポケットマルシェでは、ポケマルを利用されている新規就農者の方々にインタビューを行い、その中から他の生産者さんにとって参考になるお話を配信しています。



今回インタビューを行ったのは、信州安曇野フレンドファームの福嶋宏史さんです。福嶋さんは学生時代に参加したアメリカ農業研修をきっかけに、非農家から新規就農。現在はピンクレディーという品種のリンゴなど、市場にあまり出回らないものも栽培されています。

アメリカの農業経営者に大きく影響を受けたという福嶋さんならではの、品目や販路のユニークな戦略は必見です!


ーーなぜアメリカの農業研修へ参加しようと思ったのですか?

もともと非農家ですが農学系の大学院に行っていて、留学生のサポートなどをボランティアで行なっていました。大学の学科事務室のポスターでアメリカ農業研修プログラムの募集を見たときに、海外で生活してみたいという気持ちもあり、参加を決めました。



このプログラムは60年近い歴史があり、日本全国にOBOG農家さんがたくさんいることも魅力を感じました。実際にアメリカへの渡航前にも、山梨で果樹の大規模経営をしているOB農家さんのところで2ヶ月間研修したのですが、その方の影響も大きかったです。



ーーアメリカでは1年半も研修を積まれていたのですね。日本の農業との違いはどのように感じましたか?

日本の農家さんは職人肌で、より品質の良いものを作ることに一番の焦点を当てている方が多いように思われます。一方で、アメリカの農家さんはいかに利益を上げるかが最大の関心事のように感じました



私はコロラド州で桃と醸造用ぶどうを育てている農家さんのもとで研修をしました。2008年の当時は、ちょうどバイオエタノールの需要が高まり、とうもろこしの価格が急速に上がった時期でした。その時に受け入れ先のボスが言ったのは、「バイオエタノールの方が儲かるなら、明日にでも桃の木を切ってもいい」ということ。ボスが桃に愛着を持っていることは感じていたので、そんなことを言うなんてと衝撃を受けました。



彼らにとって作物は、あくまでも生活の糧を得るための手段であり、一番の目的は家族・従業員を守ることにあったのです。その手段と目的がはっきりしているのがアメリカの農業かなと思います。


アメリカ・コロラド州での農業研修当時の福嶋さん



ーーなるほど。具体的に今に生きている学びはどのようなところでしょう?

育てる作物の基準ですね。私はいつも一時間あたりいくらの収益になるかを考えて品目を決めています。日本では反収で考える習慣がありますが、今の時代畑はいくらでも空いてきているので、反収よりも時間あたりで考えるのが大事なのではないかと思っています。

そのため私は、梱包や袋詰も含めてその日にどのくらい作業を行ったかある程度覚えておくようにしています。



ーー福嶋さんの品目は、果樹だけでなく野菜も複数種類あって、素人目には効率も悪くなるのではと思えたのですが…?

果樹だと夏場が暇なので、その時期に収穫できるような野菜として枝豆ととうもろこしを栽培しています。また、さつまいもは植え付けも収穫も一括作業でできますし、収穫後の保存も効きます。リンゴは摘果の時期が一番忙しくなりますが、これは一回教えれば誰にでもできるような作業です。なので信州大学の援農サークルに、そうした芋の一括作業やリンゴの摘果などを手伝ってもらいながらまわしています。



ーーポケマルには今年4月に登録していただいて以来販売を続けていただいていますが、それまでは販路はどのようにされてきたのですか?

農協と直売所に出していました。直売所では枝豆はまあまあ売れますが、とうもろこしは値段が安すぎて全然利益になりません。直売所に出したらとうもろこしは1本100円いかないくらい。ちなみに農協に出したら1本50円なので、利益なんて度外視ですよね。



そんな時にFacebookでポケマルを知りました。ポケマルでの相場を見たらとうもろこしは1本200円近くで売れていて、値段が2倍以上になるのであればということでポケマルでの販売を決めました。



ーー福嶋さんの商品を見ていると、写真や商品名、説明文など細部まで工夫がなされていて感心していました!ポケマルでの販売は奥さんが担当されているのですね。

はい。妻も非農家出身なのですが、以前は老舗の和菓子屋でネット販売事業をやっていたこともあり消費者に近い感覚で表現できるのが強みです。出品するときにはだいたいの内容を妻に伝えて、それを文章に落とし込んでもらっています。



ーーポケマルを実際に使い始めてどうですか?

やはりお客さんからナマの声を聞けるのは嬉しいですね。「こんな感じで料理しました!」とコミュニティに投稿していただけたりするのも楽しいです。ただ、出品したからといって爆発的に売れるっていうものではないので、あまり他の人が出していないようなものを出品することで競争に巻き込まれないようにしています。

お客さんから福嶋さんへのコミュニティ投稿



ーーそれで福嶋さんの出品は珍しいものが多いのですね。最後に、今後の農場の展望を教えてください!

時間単価を上げる方法を突き詰めていきたいです。そのためにまず手っ取り早いのは労働時間を減らすことなので、袋詰や梱包などの時間が取られない農協への出荷も続けていきたいと思っています。



ただし農協は単価が低すぎるので、ピンクレディーなど商品化率がよく、市場価格も高い品種にこだわっていきます。ピンクレディーを栽培するためには協会に入って年会費やロイヤルティーを収めなければいけないといったコストはありますが、トータルで見れば経営的によい判断だと思います。



現在私の地域では若手農家の中でピンクレディーを育てる機運が高まってきています。若手リンゴ農家が集まって、地元の農協に掛け合って冷蔵庫での貯蔵を持ちかけたりするなど、他の農家を巻き込んで地域の農業を盛り上げていきたいと思っています。



ーーありがとうございました。これからのご活躍も楽しみにしています!


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