価格と価値について|直販農家のためのFun×Fanマーケティング講座⑤

 皆様、こんにちは。大平恭子です。

 「直販農家のための、Fun×Fanマーケティング講座」は、今までの実践や講演セミナー内容、指導アドバイス事例を、大平流に連載ブログ形式でお届けするものです。本編の5回目のテーマは、「価格と価値」についてです。 



 農産物であれ、農産加工品であれ、「いくらで売るか=価格設定」は重要な要素です。
直販農家であれば、競争志向の「他よりもより安く」ではなく、利益を見込んだ適正な価格で、安定的に勝負したいところ。


そのためには、自分が作っている商品の、お客様にとっての「価値」は何なのか?を明確にし、それに見合った販売チャネルや伝え方で顧客の満足と納得を積み重ねていくことが肝要です。そして、この「価値」とは独りよがりのものではなく、Vol1、Vol2 でお伝えした通り、自身の理念や経営上の強みに裏打ちされたものであると同時に、お客様が認識し、認めるものでもあります。 



◆独自の価値を提案した、いわて若江農園の事例


 ひとつ、実際にお仕事させていただきました事例からお伝えしたいと思います。
 

 ご紹介するいわて若江農園は、北国である盛岡市において、採光性の高いハウスで、昼夜の寒暖差や日照時間・温度を味方につけながら「通年栽培」を実現、完熟ぎりぎりまで枝にならせて、栄養価とうまみがたっぷりのったトマトを食卓に提供しています。
売場も盛岡市内に限定し、収穫した翌日には陳列することで、市場流通のものと差別化を図っています。


 料理メニューでもお弁当でも「赤の食材」は彩りとして重宝ですし、健康志向の中で、トマトは健康食材として高い地位にあります。その背景の中で「地元の、赤く熟して味ののった、鮮度感あるトマト」「食べて納得」という品質と、それが「いつでも同じ売り場にある」という状況が、お客様にとっての「価値」であり、それが価格の根拠になっています。


 あえて付け加えるなら、何もデパートに並ぶ逸品だけが「価値のあるもの」ではありません。日常の食の中で、喜びやおいしさが広がる食べ物の「価値」は、作り手である直販農家の皆様お一人お一人が創造しうるものなのです。 

(いわて若江農園の中玉トマト)



◆需要志向の価格設定
 


 上記の例は、売り場を通じたお客様が「この商品に対し、いくらまでだったら支払うのか」という、いわば上方の設定と、実行するには、それに見合った顧客価値の提供が肝要である、という事例です。お客様が真に求めているのは、「安い価格」ではなく、自分にとっての「高い価値」であり、それを持続させていくためには、視点を「栽培現場」から「食卓」や「生活者行動」に置き、売場動向やその先のお客様との対話やコミュニケーションで得られる情報や関係性も重要な要素となってきます。


  ちなみに、価格的なお話でいうと、近隣産直での同品目と比べると、小売で1.5倍~2倍くらいのお値段。もちろん季節に応じて変動はありますが、「わかえのトマト」として定着し、リピート買いも多いとのことです。


 今回の記事が直販農家の皆様の日々の活動の参考になれば幸いです。 


いわて若江農園 






【プロフィール】 ブランドストーリー 代表 大平恭子


食農連携の分野で「売り方・食べ方で人と地域を活性」をミッションに、付加価値化と魅力増大を図る専門家。生産者・農産物ブランディング、食事業者に対する健康食材コーディネートやレシピ開発、加工品開発支援、講演セミナー等を行っている。

健康的でポジティブなライフスタイルを実践するために始めたランニングは1年で10km走れるようになり、2018年3月には名古屋でのハーフマラソンに初挑戦の予定。

6次産業化プランナー、野菜ソムリエ上級プロ、アスリートフードマイスター


2018©Brandstory

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