直売所をやめてメルカリ・ポケマルへ。熱海の第一号新規認定農業者のネット販売戦略。 |錦織慎さん/だもんで農園/静岡県熱海市

今やネットを介しての個人間売買は当たり前の時代。本や服、ついには農産物までメルカリなどのプラットフォームで販売されるようになりました。



今回のインタビューのお相手はそんな時代を代表するような新規就農者、静岡県熱海市「だもんで農園」の錦織慎さん。錦織さんは独立して2年目ですが、一番売上をあげているのはなんとメルカリを通じての販売だといいます。そんな錦織さんに、直売所での販売をやめてメルカリやポケマルでのネット直販をするに至った経緯や、お客さんとの関わり方について、私ポケマルインターン生の石川がお聞きしました。

ーー就農に至った経緯と栽培品目を教えてください。

私はもともと農業法人で研修生の教育担当として働いていました。熱海市にはUターンで農業をするため戻ってきたのですが、高齢化が進み、農地の約半分が遊休地という悲惨な状況でした。非農家のよそ者が農地を確保するのは難しかったのですが、地元の人々の協力のもとなんとか農地を見つけていき、1年がかりで熱海市で第一号の新規認定農業者となりました。今は冬場にできるレモンを一つ目の目玉として、裏作にミニトマトを、秋以降は漬物業者と生産契約して畑わさびを栽培しています。



ーー就農にあたって、販路はどのように確保しましたか?

まずは直売所に持っていこうと考えました。私の場合、農園から車で30分圏内に直売所が2箇所ありますが、この地域は人口も少なく生産者も消費者も高齢の方ばかりです。そして直売所に出品されているのは、長年農業を続けてきた高齢の農家が作っている野菜ばかり。そうした野菜は価格も安く、私がきちんと利益を出すために300円の価格設定にしたとしても、隣には100円で同じような商品が並んでいる。



現在全国の直売所で問題になっているところもあるようですが、「収益を求めない農業者」による「売れればいいや」的販売が横行している訳です。買いに来るお客さんも単純に安く新鮮なものを求めているので、同じような商品が並んでいたら安い方を選んでしまうのは当然のこと。周りの農家さんからも「なんで若造のお前がそんな高い値段で売っているんだ」「お前に農業の何がわかっているというんだ」と言われるので、私は直売所での販売には発展性を望めないと判断しました。



そういった経緯で、自分は直売所ではなく違う土俵で戦わなければならないのではないかという考えに至りました。一個人の農家が戦っていくためには、きちんと利益のとれる売価設定をすることはもちろんですが、ニッチな市場を狙って、値段以外の面で消費者に購買を促していくしかないと思います。



ーーそういった流れの中でメルカリでの販売を始められたわけですね。

はい。昨年は50年に1度と言われるほどのみかん大凶作の年でしたが、たまたま私の農園では結構収穫できたんです。当初果樹は未経験だったこともあり、低い価格設定で恐る恐るメルカリに出してみたところ、出品して2秒で売れたんです。(笑)そんな低価格で売れてしまっては、私は嬉しいけれどきちんとした価格設定でいい商品を出している他のみかん農家は売れない。パイの奪い合いになってしまうということに気づいたんです。



メルカリでは非農家の出品も多く、直売所同様に「売れればいいや」的な低価格での販売も目立ちます。価格を下げて売ることは簡単ですが、きちんとこだわりやストーリーを伝えて、高いけどあえて買おうと思ってもらうように、お客さんの心を掴む伝え方をしていくことが大事なのだと実感しました。

(↑錦織さんのメルカリでの出品ページ)



ーーメルカリやポケマルを活用する中で気づいた顧客層の違いはありますか?

メルカリでは顧客層が「多少高くてもいいものを買いたい層」と「安さ目当てで買う層」に二極化していると思います。きちんと利益が得られる高めの値段設定にすると、「いいね」はつくのに購買まで時間がかかるという状態が生まれます。その状態から鮮度低下などの都合で値段を下げると一気に売れるのですが、そこで買っていくのは安さ目当てのお客さんなんです。このタイプのお客さんは連絡の仕方においても評価の点においても、高くても買ってくれる層とは色が変わって、クレームも出やすいし、取引後の評価も良い評価が少ない傾向にあります。例えば「約1kg」と説明欄に書いているのにも関わらず「1kg入っていなかった!」といったクレームを頂いたことがあります。(笑)



一方でポケマルの場合は、出品者が農業・漁業従事者に限定されているからこそ、顧客層も「信頼のある生産者から確かなものを買いたい」という人たち。だからこそ、トマトに割れが出てしまっていたというお客さんからの連絡も、「何個か割れてしまっておりましたが、他に問題はなく美味しくいただきました」みたいな。すごく優しいんですよね。(笑)これがメルカリで安さを優先的に求めて購入するお客さんだと「二個くらい割れていました。キャンセルしていいですか?」になる事があるのです。



ーークレームが直接来るのが個人間売買の怖いところでもありますよね。

私は、クレームはファンを作るビッグボーナスチャンスだと思っています。頂いた瞬間は精神的にキツい時もありますが。(笑)

これは以前メルカリで大クレームを頂いた際に、これ以上無いほどの誠心誠意、真心を込めて対応したところ、その方から「あなたほど丁寧な対応をした人は今までにいない、出品者の鏡だ」と言われた経験からきています。頂いたクレームを蔑ろにせずにきちんと対応したことでその人がファンに変わり、リピート、知人への紹介、意外と見られることも多い評価欄への激励コメントをくださったのです。最終的には売上の増加にもつながったので、一概にクレームを頂くことが悪いことだとは言えないと現状では思っています。



確かにクレームは怖いですが、精一杯やってだめだったら仕方がない、という気持ちでやっています。クレームが出やすい梱包・発送にはとても神経を使いますが、丁寧すぎてそちらにばかり時間をとられてしまうのも違うかな、と思っています。最終的には近所のおばちゃんたちとのやりとりのような、丁寧だけどフランクなやりとりを目指していきたいです。



ーーありがとうございます。最後にこの記事を読んでいる生産者のみなさんに一言お願いします。

こだわって、魂を注いで作っているものがあるならポケマルに出せ!と言いたいですね。(笑) 先ほど申し上げた通り、そのこだわりをわかってくれるお客さんがいるのがポケマルだと思っています。逆に、こだわっていないなら出すな!とも言いたいです。(笑)



直売所に出すことももちろん選択肢の一つですが、全国をマーケットととらえればその地域の何千倍、何万倍ものお客さんがそこにいるわけです。せっかくこだわって生産しているのであれば、このチャンスを逃すのはもったいないと思います。


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