大平恭子

記事一覧(6)

食の安全と安心について|直販農家のためのFun×Fanマーケティング講座⑥

皆様、こんにちは。大平恭子です。
  「直販農家のための、Fun×Fanマーケティング講座」は、今までの実践や講演セミナー内容、指導アドバイス事例を、大平流に連載ブログ形式でお届けするものです。本編の6回目のテーマは、「食の安全と安心について」です。   職業柄、6次産業化や農商工連携といった分野で新商品開発や販路開拓支援や、実需者向けに対しては農産物のPRやレシピ開発のサポートをしています。その現場では、農業への思いやおいしさへのこだわり、栽培技術や環境保全の取り組み等、自分たちの農産物の「付加価値」を高めるための情報活動が行われるのですが、それらを下支えする生産活動における安全性向上への取り組み、経営体としての信頼性について、客観性をもって可視化(見える化)されることはあまり多くはありません。   生産者として、食べ物を作っているのだから「安全であることは当たり前のこと、あえて言う必要はない」という意見もありますが、買い手である消費者や実需者の視点は果たしてどうでしょうか?◆消費者や流通業者の、農業生産工程管理に対するニーズ  ここでひとつ、農林水産省が示したデータを事例にお伝えしたいと思います。 

価格と価値について|直販農家のためのFun×Fanマーケティング講座⑤

 皆様、こんにちは。大平恭子です。 「直販農家のための、Fun×Fanマーケティング講座」は、今までの実践や講演セミナー内容、指導アドバイス事例を、大平流に連載ブログ形式でお届けするものです。本編の5回目のテーマは、「価格と価値」についてです。  農産物であれ、農産加工品であれ、「いくらで売るか=価格設定」は重要な要素です。直販農家であれば、競争志向の「他よりもより安く」ではなく、利益を見込んだ適正な価格で、安定的に勝負したいところ。そのためには、自分が作っている商品の、お客様にとっての「価値」は何なのか?を明確にし、それに見合った販売チャネルや伝え方で顧客の満足と納得を積み重ねていくことが肝要です。そして、この「価値」とは独りよがりのものではなく、Vol1、Vol2 でお伝えした通り、自身の理念や経営上の強みに裏打ちされたものであると同時に、お客様が認識し、認めるものでもあります。 ◆独自の価値を提案した、いわて若江農園の事例 ひとつ、実際にお仕事させていただきました事例からお伝えしたいと思います。  ご紹介するいわて若江農園は、北国である盛岡市において、採光性の高いハウスで、昼夜の寒暖差や日照時間・温度を味方につけながら「通年栽培」を実現、完熟ぎりぎりまで枝にならせて、栄養価とうまみがたっぷりのったトマトを食卓に提供しています。売場も盛岡市内に限定し、収穫した翌日には陳列することで、市場流通のものと差別化を図っています。 料理メニューでもお弁当でも「赤の食材」は彩りとして重宝ですし、健康志向の中で、トマトは健康食材として高い地位にあります。その背景の中で「地元の、赤く熟して味ののった、鮮度感あるトマト」「食べて納得」という品質と、それが「いつでも同じ売り場にある」という状況が、お客様にとっての「価値」であり、それが価格の根拠になっています。 あえて付け加えるなら、何もデパートに並ぶ逸品だけが「価値のあるもの」ではありません。日常の食の中で、喜びやおいしさが広がる食べ物の「価値」は、作り手である直販農家の皆様お一人お一人が創造しうるものなのです。 

独自性のある商品づくりのために|直販農家のためのFun×Fanマーケティング講座④

皆様、こんにちは。大平恭子です。「直販農家のための、Fun×Fanマーケティング講座」は、今までの実践や講演セミナー内容、指導アドバイス事例を、大平流に連載ブログ形式でお届けするものです。本編の4回目のテーマは、「独自性ある商品づくりのために」です。◆自分のこだわりより「生活者がお金を払う理由」を  Vol.1では、リンゴを例にとり、「農産物」としての「リンゴ」、「食べ物」としての「リンゴ」について、その違いを説明しました。「農産物から食べ物へ」と意味付けが変わることで、買う人にとっての興味や「自分に必要なもの」としての認識が深まってきます。さらに「商品的な側面」となると、金銭的なやり取りの中で、「それを手にすることで得られる効果」や「お金を払うに値するのか、魅力があるのか」に考えがシフトしてきます。  直販農家の場合、買い手である生活者との間で直接コミュニケーションが取れるため、買ってほしいがために、商品そのものや自分のこだわりを全面に出して押してしまいがちで、それを「独自性」と捉えてしまいがちです。しかしながら実際には、生活者は上記に書いた通り「お金を払うに値するのか、その理由の提示」を期待しています。初めて出会う買い手の方たちとは、社会の中で慣例化している売り方や食材の組み合わせによる食卓提案・メニュー提案を参考にしながら、その中で自分らしさをトッピングしていくことが無理のないやり方です。

ターゲットとそのニーズについて<出口戦略>|直販農家のためのFun×Fanマーケティング講座③

    皆様、こんにちは。大平恭子です。 「直販農家のための、Fun×Fanマーケティング講座」は、今までの実践や講演セミナー内容、指導アドバイス事例を、大平流に連載ブログ形式でお届けするものです。  本編の3回目は、「ターゲットとそのニーズについて <出口戦略>」についてです。Vol.1で、直販農家のマーケティング思考とは『自身が設定した顧客対象層のニーズを掘り起こし、提供する商品サービスを通じて「顧客の価値を生み出す」活動全体の考え方である』とお伝えしました。そしてその顧客対象層に合理的にアクセスする方法として「販売チャネル」があります。「販売チャネル」とは、商品やサービスを対象顧客層に販売する場のこと。直販農家の場合には、それを自由に選択することができますが、やみくもに選んではかえって経営効率が悪く、自身の経営資源や強み・弱みをきちんと把握整理したうえで、それぞれの目的に応じて戦略的に組み合わせていくのが肝要です。◆販売チャネルの「選択と集中」 販売チャネルは実に様々です。個人を相手にしたところでいうと、代表的なものとしては百貨店・スーパー・コンビニエンスストア等の小売店、カタログ販売、インターネット通販等。実需者向けには、飲食店、仕出し屋、給食施設等。産地直売所やマルシェのようなイベントや対面販売も「販売チャネル」となります。そして、このような数多くの「販売の場、販売の機会」において、戦略的な視点で販売活動を行っていきます。例えば、配達できる時間距離以内の店舗を商圏として考え、面的な広がりの中で顧客との接点を作っていくのもあるでしょうし、「商品説明と直接交流」を目的に毎週毎週のイベント出店を積み重ねる場合もあるでしょう。いずれにしても経営規模から勘案して、販売チャネルにおいては総花的でなく「戦略と集中」が図られることが肝要で、「やること」を決めると同時に「やらないこと」を決めていくことが大事です。

自分の大切にしている価値、強み、ウリを明確にしよう。|直販農家のためのFun×Fanマーケティング講座②

皆様、こんにちは。大平恭子です。「直販農家のための、Fun×Fanマーケティング講座」は、今までの実践や講演セミナー内容、指導アドバイス事例を大平流に、連載ブログ形式でお届けするものです。本編の2回目は、「自分の大切にしている価値、強み、ウリを明確にしよう」についてです。 この「自分の大切にしている価値」は「経営理念」という言葉にも置き換えることができます。今これをお読みの皆様は、経営理念はすでにお持ちでしょうか?言葉として言い表さなくても、心にともる「思い」はお持ちではないかと思います。 経営理念とは、「なぜ農業をするのか、それで何を実現したいのか」の思いや価値観、存在意義を顧客や社会に対しメッセージ化したもので、経営活動における行動指針として活用していきます。ここで大事なのは、自分にとって、あるいは自分の組織にとって、①実現性のあるもの、②強み・弱みでいえば、「強み」や「独自性」を伸ばして、価値提供できること、③社会に役立ち、人を幸せにすること ④持続可能なこと。・・・これらに対し整合性と一貫性を取っていくことです。◆まずは自分の強み・弱み分析から。 上記のことを明確にしていくために、まずは自分の経営に関わる持ち物や人材、情報、設定した市場環境の中での強みや弱み等を洗い出してみてはいかがでしょうか。一人で難しく悶々と考え込むよりは、家族や従業員、仲間や信頼できるブレーンと気軽に何度もディスカッションする機会を作って練り上げたほうが「気づき」も得られ、行動に移しやすいかと思います。

直販農家のマーケティング思考とは|直販農家のためのFun×Fanマーケティング講座①

皆様、こんにちは。大平恭子です。「直販農家のための、Fun×Fanマーケティング講座」は、今までの実践や講演セミナー内容、指導アドバイス事例を連載ブログ形式でお届けするものです。本編の1回目は、「直販農家のマーケティング思考」について。活動の前提となる考え方や視点についてお伝えしたいと思います。  私がブランドストーリーとして「食と農を繋ぐ」活動をスタートさせた10年前頃は、生産・流通・消費が分断化され、農家が価格決定に関われない現状であったと記憶しています。今はその頃に比べ、農業や作り手である生産者と食べ手である生活者との距離は縮まっているように感じられます。例えば、週末ごとに様々なところでマルシェが開催されたり、小ロットでもお客様を発掘し配送できるシステムが登場したり。テレビやラジオ、雑誌等でも産地や生産者が主役となって紹介される機会が増加するなど社会的な機運も高まってきています。  一方、コンサルティングの現場では、農産物であれ、農産加工品であれ、「何を作るか(商品開発)」「どこで売るか(販路形成)」そして「どのように広げるか(販路拡大)」の課題や相談が絶えません。生産者ご自身の「送り手」としての視点でいうと、生産者としての「こだわり」でいいものを作れば自然に売れていく、とお考えになる方も少なくないのですが、実際にはその通りの場合もあるし、そうでない場合もあります。◆「販売志向」と「顧客志向」  ひとつ「りんご」を例にとってみましょう。 「農産物」としてのりんごの「価値」には、ビジネスパートナーとして青果市場や流通バイヤーが大きな影響を及ぼしている場合が多いです。例えば、大きさや色合い、蜜入り具合、糖度、栽培方法や品種特性や希少性、出荷時期等々を巧みに計算し、他にはない農産物としての「価値」を作り上げていきます。そこで生産者に求められるのは、品質の均一化、「モノ」としての基準です(もちろん安全安心おいしいを前提に)。また、作ったものをどのようにして売るかという視点に立ちますので、「販売志向」ということもできます。